こんにちは!上野PJ修士2年水野です。
本郷キャンパスから程近い、不忍池の南側に広がる上野公園と、池のほとりを東西に走る不忍通りでは、10/19(土)14:00~20:00、10/20(日)10:00~18:00の日程で、不忍通り車道利活用実験「池のほとりの本のみち 不忍池ブックカフェ2024」を開催しました。
このプレイスメイキング実験は、昨年10月に開催した第1回に引き続くもので、ブックカフェをモチーフに、物販・飲食・滞在・展示を混在させたイベントです。
昨年は不忍通りの東行き車線(北側)を1車線強にわたって道路使用を行いましたが、今年は東行き車線に加えて、その斜向かいに西行き車線(南側)も1車線強の道路使用を行いました。
去年のノウハウを活かし、空間コンセプト等は継承しながらも、新しい空間の設え方にも挑戦し、昨年は見られなかった良い風景がいくつも見られました。
昨年より会場が拡大した今年。車両の進入を防ぐバリケード、店舗となる屋台やテント、テーブルやベンチ、会場に点在させる種々の本棚…多くの什器の配置を含めた会場準備は予想以上に難航しましたが、出店者の方々の助けもあり、営業開始になんとか間に合わせることができました。
今年は、昨年課題となった、「池からまちへの人の流れのなさ」「公園と道路を断絶する、しかし豊かな緑のある植栽帯への立ち入りのなさ」の解決のため、約半年かけて学内や地域の方々と議論をし、植栽帯と道路の段差の解消や車道の両側使用などのハード面、什器デザインの統一などのソフト面の仕掛けを導入しました。
この写真は、南側の車道上の様子です。
バーカウンターで飲食する人、屋台に並べられた本を吟味する人、そぞろ歩きをしながら店舗の商品を眺める人…行為としては良くも悪くも予想通りの、ブックイベントとしては理想の行為ですが、池側のゆったりとした雰囲気がまち側にも違和感なく広がったというのは、大きな収穫だったと思います。
昨年、照明やベンチ、展示などを設置した植栽帯ですが、ほとんど立ち入る人は見られませんでした。
そこで、今年は段差解消のためのウッドデッキを設置したり、公園と歩道を隔てるロープを一時的に取り外したり、通り道となるシートを敷いたり、足を踏み入れる目的となるシンボリックな本棚を設置したり…シンプルな、しかし数々の仕掛けを散りばめました。
結果的に、予想よりも多くの人々がこの植栽帯に立ち入り、その豊かな緑に囲まれた空間で、読書や飲食などの行動も見ることができました。
植栽帯の空間のポテンシャルに気づいてもらえたことがとても嬉しかったですが、この風景は、緑地事務所と協議を重ねて什器の配置やロープの取り外しの許可を得たり、本棚や通り道の配置、材質を何度も議論したり、重量のあるウッドデッキを何枚も運んだり…と多くのことの積み重ねの上に成り立っており、改めて空間づくりは単純なものではないなと思い知らされました。
その他にも、今年ならではの風景の数々に心を打たれ、交通量調査やアンケート調査に精を出し、一参加者としてイベントを楽しんでいるうちに、あっという間に時間が過ぎました。
幸い営業時間中に天候が大きく崩れることもなく、また事故やトラブルもなく、無事に2日間の実験を終えることができました。
来場者や出店者の方々からたくさんのお声をいただき、イベントとしても、不忍通りの将来像を考える上でも、新たな課題を発見することができた良い機会になりました。
上野プロジェクトでは、来年以降も車道の利活用をイベント的・社会実験的に継続し、この活動の周知を継続しながら、豊かな池のほとりの空間の在り方を模索していきます。