盛り土が進む大槌で

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11月7日、8日の2日間、大槌現地調査に行ってきました。
秋らしい雲が広がる青空の下の大槌の山々は、まだ色づく時期には早いようでしたが、
気温の方は朝晩5℃ほどまで下がり、冷たい強い風が吹いていました。
今回の訪問では、主に3点のことをしました。

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 現在大槌町の依頼を受けて協力という形で行っている、「生きた証」プロジェクトについてです。生きた証プロジェクトは、鎮魂と二度と同じことが起きないようにという願いを込めて、大震災で亡くなった大槌町の方々のお人柄や亡くなったときの状況などを親しかった方々に伺い、後世へ伝えようとするものです。私達としては今年のお盆から動き始めましたが、今回は数人の方からお話を伺い、また来月以降の本格的な調査に向けた準備を行いました。

 時間の経過が平等に皆の心の傷を癒してくれるわけではなく、それぞれが様々な想いを抱えている中で、大切な人を亡くされた方にお話を伺うのはこちらも気楽な想いではとてもできることではありません。その中で伺うお話はとても貴重で、東京では数字でしか掴むことのできない「犠牲者」が、ひとりひとり誰かの大切な人でかけがえのない人であったことを、強烈に感じます。生前の写真の多くは津波にさらわれてしまったと残念そうに、しかし友人が写真を集めて作って届けてくれた息子のアルバムを大事そうに見せていただき、楽しそうな数々の写真から彼がとても慕われていたことが伝わってきました。

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 盛り土が始まり姿が変わりつつある大槌町吉里吉里集落を博士課程の神原さんと歩きました。
 最近は大槌プロジェクトで吉里吉里で活動することは少なくなりましたが、赤浜集落だけではなく吉里吉里集落でも活動していた時期がありました。しかし僕はその時期の後から大槌プロジェクトに参加しているため吉里吉里集落をゆっくり歩いたことがありませんでした。

DSCN9379.JPG 神原さんもゆっくり吉里吉里を歩いたことがなかったということで、先生方が会議をしている間に資料を手に歩き回りました。手に持っていた資料は、大槌プロジェクトの先輩方が作った「吉里吉里思い出マップ」です。震災前の集落での暮らしの様子をたくさんの方に聞き、地図上に書き込んであります。
 国道の移設+かさ上げ工事と住宅地のかさ上げ工事の合間を縫うような見学でした。

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 赤浜と吉里吉里でそれぞれ震災前の防災活動や過去の災害に関して詳しい住民の方に、資料を見せていただきながらお話を伺いました。過去何度も津波被害を受けていた地域にあっても、自主防災は簡単でなかったのだと思いました。

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以上、簡単ではありますが、11月の訪問のご報告です。

M1 益邑