「池のほとりの本のみち」開催!

こんにちは、M2の平野です!

10/28-29の二日間、上野プロジェクトで秋の社会実験「池のほとりの本のみち」を開催しました。

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今回の社会実験の特徴は、現況両側三車線である不忍通りの二車線分を交通規制し、公園だけでなく車道を出店場所や滞留空間として活用すること。

我々学生と地元商店会の方々で定期的に開いているまちづくりの勉強会「しのばずいけまち研究会」では、通りを挟んで存在する池のほとりの公園(いけ)と商店街(まち)をつなぐという将来像をずっと描いてきました。

▼研究会で描いた不忍通り周辺の将来像。右が「いけ」、左が「まち」。

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▼現況の不忍通り。閑散としていて「いけ」と「まち」を分断している。
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今回の社会実験は、その将来像を実際の空間に落とし込んでみる最初の試みでした。

ドリンクを片手に、お気に入りの本を探しながら車道〜公園までを一体的に巡ってもらいたいという願いを込めて、「池のほとりのブックカフェ」をイメージして空間をデザイン。

地元の方と一緒に、上野不忍界隈の書店さん、雑貨販売、飲食店などの方々に0からお声がけをし、およそ20の出店者のかたにご協力いただけることになりました。

▼当日の会場マップ。公園内から車道までをつなげるように出店ブースが配置されている。

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2日間、一番心配していた天気にも恵まれ、どのブースも大盛況でした。

池のほとりにはブックバスが出現し、会場の印象をガラッと変えました。

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通りがかりの人も興味深そうに写真を撮ったり、本を手に取ったりしていて、人の流れがいつもに増してゆったりしたように感じられました。

他にも、

-豆本づくり体験や、廃材クラフト体験ができるバーなどの個性的なワークショップ。

-上野池之端で古くから続く伝統工芸をあしらった和雑貨の数々。

-鶯谷の養蜂場で採れた蜂蜜や上野仲町通りのブルワリーで醸造されたビールなど、この場所で生まれた味を楽しめる屋台。

-木陰のイベントブースでは、紙芝居の読み聞かせや絵本ライブ、投扇興という江戸時代のお座敷遊びの体験会を時間交代で開催。

どの時間帯も人だかりができており、笑い声や歌声が耐えませんでした。

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公園内はもちろん、車道でくつろぐという新しい体験もしていただけたようでした。

車道.jpg出店場所が近かった出店者さま同士の交流も生まれたようで、運営側としてとてもあたたかい気持ちになりました。

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それぞれのブースの配置や、ブースの間の空間デザインは学生が主体となって、地元の方や先生方にフィードバックをいただきながら進めました。

今回は車道上にもものを置くということで、交通規制やバリケード設置という今まで経験したことのないハードルを超えなければならず、当日の設営が終わるまで不安でいっぱいでした。

▼当日朝のバリケード設営の様子。肉体労働で、商店会の方々に大いに助けていただきました...。

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無事に設営が終わり、近くのビルの屋上から会場を見下ろした時、今まで描いていた図面がしっかり立ち上がっていて安堵したのを覚えています。

▼近くのビルから会場を見下ろした様子。

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▼同じアングルで、設営のために準備していた図面。

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準備・設営において多大なるご協力をしてくださった地元の方々、

我々がデザインしきれなかったブースの周辺まで思い思いに彩ってくださった出店者の方々、

広報を見て来場してくださった方々、通りすがりに立ち止まってくださった方々、

みなさんのおかげで、今回の会場を完成させることができました。本当にありがとうございます。

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ここからは、学生で企画した個々の取り組みの紹介です。

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【オリジナル屋台製作】

まずは屋台製作。今回一部の出店者の方に使っていただいた屋台と看板は、学生たちでこの日のために手作りしたものでした。

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既製品の長机を活用して、存在感を出すための枠と屋根を取り付け、およそ2日間で10個の屋台を組み上げました(!)

▼屋上での組み立て作業の様子。

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【ガードレール本棚製作】

歩道と車道の間のガードレールがどうしても会場に一体感を持たせるための障壁になってしまうという課題を解決するために製作した「ガードレール本棚」。

歩道と車道のどちらからも本を手に取れるということをコンセプトに、既存のガードレールの躯体を活用して、最小限のコストで歩道と車道をつなぎました。

ガードレール.JPG

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荷重に耐えられる構造を実現するまでかなり試行錯誤がありましたが、多くの方に使っていただき、ものづくりの悦びを再確認しました。

本を置いていない板は立ち飲みテーブルとして使ってもらえたり、利用者の方に気付かされた可能性も多くありました。

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【「持ち寄り本棚」企画】

学生で企画した「持ち寄り本棚」は、このイベントに関わった研究会や出店者の方々が、読まなくなった本や誰かに読んでほしい本を持ち寄ってできた本棚。

来場者は気になった本を手に取ったり、家から持参した本と交換で持ち帰ることができました。

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事前にチラシを読んで家から本を持ってきたという人も多くいらっしゃり、交換も会場内のあちこちで発生していたようでした。

会場内に散りばめられた11の本棚をめぐるうちに、ずっと欲しかった本をゲットできたという人も!

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【植栽帯での展示】

公園と道路の境界に位置する植栽帯では、地元の方からお貸しいただいた錦絵や、不忍文学に関する展示を行いました。

夜は展示パネルの一つ一つが照らされて、普段は鬱蒼としている植栽帯が明るい雰囲気になりました。

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【東大出店・研究会展示】

手作りの看板が光る会場入り口では、私たち東大チームの出店(不忍池にちなんだレンコンスープバー)も。

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その隣では、研究会で議論してきたことの内容が模型とパネルによって展示されました。

パネル.jpg▼すでに卒業された先輩方が製作した模型。しのばずいけまち研究会では、机にこれを置いて議論を交わすのが習慣になっている。

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来場者の中には、このイベント(社会実験)のまちづくり的な意味について興味を持ってくださる方もいらっしゃり、増刷したしのばずいけまち研究会のコンセプトブックも多くの方に手に取っていただけました。

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今年の社会実験は一旦ひと段落、私たち修士二年の学生は上野プロジェクトを引退となります。

ですが、今回の社会実験を通して深まった地元の方との絆や、新たにできた出店者の皆さんとのつながりは、上野プロジェクト・上野のまちがまた新たなものを生み出すきっかけになると信じています。

初めての取り組みで終始ドタバタな運営でしたが、みなさん大変お世話になりました。

ぜひ今後も遊びに行かせてください!

集合写真.JPG来年度から、後輩たちがどう「いけとまちをつなぐ」を形にしていくのか、楽しみにしています!